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    一枚の傑作が、いかにして美術館にたどり着いたのか。本VR展では、プラド美術館を代表する五つの名画とともに、

    作品が展示室に至るまでの“知られざる旅路”をたどります。

    それは、

    ・ベルギーやスペインの華やかな王宮で生まれた作品

    ・イタリア・ルネサンス期の活気あふれる工房で制作された作品

    ・静寂と狂気が交錯する場所で誕生した作品

    など、画家や鑑賞者の時代をはるかに超え、長い時を生き抜いてきた芸術の物語です。

     本展は、現在開催中の上海で約10万人、アルゼンチンでは約2万人を動員している人気シリーズで、日本は3か国目の開催となります。

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    《快楽の園》

    ヒエロニムス・ボス|1490–1500年・板上油彩

    この三連祭壇画は、ボスがスヘルトーヘンボスの工房で制作したものです。しかし、その工房の実態も、画家本人の素顔も、この魅惑的な傑作の背景も、実のところ後世にはほとんど語られていません。もし超現実主義が500年早く生まれていたなら――本作はまさにその頂点に位置づけられるでしょう。

    画面には、異界から訪れたかのような存在が次々と現れます。物体・人間・動物が融合した奇妙な生きもの、有機的な素材から立ち上がる矛盾に満ちた建築、常識を超える身体のあり方…。観る者は自然と足を止め、細部のひとつひとつに物語を紡ぎたくなるはずです。一説には、これは宮廷で話題を呼ぶために依頼された「好奇心の絵」であり、謎めいた記号や挑発的なイメージを散りばめることで、来客の議論を誘う目的があったとも言われます。壮大な全体構図と、顕微鏡のような細密描写を併せ持つこの作品は、見るたびに新たな発見をもたらす永遠の迷宮です。

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    《ヴィーナスとアドーニス》

    パオロ・ヴェロネーゼ|約1580年・カンヴァスに油彩

    この瞬間のヴィーナスは、静かに未来を見つめています。愛するアドニスを抱きしめ、迫りくる運命の悲劇から守ろうとするかのように。狩りはまもなく始まり、彼に避けられない死が訪れる――それを知るのは、女神である彼女だけです。嵐の前の、束の間の静寂。

    本作は、ヴェロネーゼが運営した活気に満ちたヴェネツィアの大工房から生まれました。彼の兄弟や甥、数多くの弟子たちが巨大な作品の制作に携わり、精緻な細部表現はまさに共同作業の結晶でした。そのため同主題の作品が3点残されており、それぞれ異なる「別れの瞬間」を描いています。この恋人たちの最期の抱擁は、三つの姿で永遠に残されているのです。

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    《視覚の寓意》

    ヤン・ブリューゲル(父)/ピーテル・パウル・ルーベンス|1617年・板上油彩

    17世紀初頭、ブリューゲル父子とルーベンスは「五感」をテーマにした連作を手がけました。本作《視覚》では、近代博物館の原型ともいえる初期コレクション文化が鮮やかに再現されています。

    描かれているのは、オーストリア大公アルブレヒトとイサベラ夫妻の「珍品陳列室」。科学と芸術が同じ空間に息づき、人々の“視る力”を称えています。人間の視界を拡張する科学装置、息を飲むような観測器具、そして24点におよぶ神話画のミニチュア。視覚が世界をどれほど豊かにするか――その深い喜びがこの小宇宙に満ちています。

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    《魔女の安息日》

    フランシスコ・ゴヤ|1820–1823年・壁画をカンヴァスに転写

    この作品は、ゴヤが「聾者の家(Quinta del Sordo)」で制作した14点の壁画シリーズの一つです。興味深いことに、この家はゴヤ以前の所有者も聾者であったことから、すでにそう呼ばれていました。

    現存する建物の姿を私たちは知りません。しかし、《黒い絵》と呼ばれる一連の壁画は、1階の食堂と2階の書斎という、二つの閉ざされた空間に密やかに描かれていました。そこは、老いた画家が深い孤独と向き合い、悪夢とともに生きた場所でもあります。ゴヤ亡き後、建物は解体され、壁画はカンヴァスに移されました。今日、私たちは美術館の展示室でそれらを見上げますが、鑑賞者の称賛の影には、画家の魂の叫びが静かに潜んでいます。

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    《ラス・メニーナス》

    ディエゴ・ベラスケス|1656年・カンヴァスに油彩

    この作品は、マドリードのアルカサル王宮で描かれました。一見すると「王女マルガリータが随行の侍女とともに肖像画の準備をしている」宮廷の日常の一コマに見えます。しかし視線を重ねるほど、疑問は増していきます。なぜ画家本人が画面に描かれているのか?彼は何を見つめているのか?人々が凝視する先には何があるのか?

    星座の配置に基づく構図だという説、絵画と鑑賞者の視線ゲームを永久に成立させるための仕掛けだという説――実に多くの解釈が存在します。確かなのは、この作品が「想像力の領域」を限りなく広げたということ。そして本展では、美術館の夜を見守る一人の警備員の語りによって、あなたをこの名画の内部へと誘います。彼が長い夜のあいだに見つけた“秘密”を、ともに体験してみてください。

  • |VR体験

    プラド美術館が所蔵する名画を、最先端のVR技術で完全再構築した 没入型アート体験 です。観るだけでなく、絵画の中を「歩き」「聴き」「感じる」ことで、 アートとテクノロジー、教育と文化、過去と未来をつなぐ“新しい学びの場”を創出します。

    会場では、来場者がVRヘッドセットを装着し、作品の細部を拡大しながら自由に鑑賞できるほか、その歴史的背景についても深く理解できるよう設計されています。名画「ラス・メニーナス」や「ヴィーナスとアドニス」の世界に入ったような感覚で登場人物たちと対話することができ、まるで「絵の中の住人」になったような、高い没入感とインタラクティブな体験を提供します。

  • |開催概要

    名画を 「外側から見る時代」から 「内側へと旅する時代」へ

  • |チケット料金

    本イベントでは、平日限定の「平日チケット」と、期間中いつでも入場可能な「フリーパス」の2種類をご用意しています。


    平日チケット :5,000円(税込)/ 1名

    フリーパス  :5,500円(税込)/ 1名

    ※本公式サイトでは、ご来場の皆さまにより気軽にアート体験を楽しんでいただくため、最も優待された価格でチケットをご案内しております。

    ※下記の特定日につきましては、すべて「フリーパス」料金にてご案内いたします。

    ● 2025/12/29(月)〜 2026/01/02(金)

    ● 2026/02/13(金)

    ● 2026/02/16(月)〜 2026/02/20(金)

    ● 2026/03/13(金)

  • |アクセス

    📍東京タワー フットタウン1F タワーホールA

  • |ご注意事項

    (1) 体験人数について

    (2) お子様のご観覧について

    (3) 観覧マナーについて

    (4) VR体験時の安全について

    (5) 体験が不適切な方について

    (6) 持ち込み禁止物・禁止行為

    (7) 混雑時のご案内

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